今回は「薬屋のひとりごと」の里樹の生い立ちについてご紹介します。
不幸体質で気弱な彼女が少しずつ強くなり、幸せを予感させる未来を手に入れるまでの過程を家系図・相関図付きでわかりやすく説明します。
ネタバレOKの方のみお読みください!
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里樹の生い立ち
里樹は名持ちの一族「卯」の姫です。
異母姉と異母兄がいますが、里樹は唯一の「卯」の直系です。
皇族に多大な貢献をした一族に与えられる称号で数は多くありません。
古参の一族は「十二支(子・戌など)」の名が与えられています。十二支以外(「羅」「玉」など)は歴史が新しい一族です。
「卯」の一族は古参の名門一族ですが、女帝は「実力主義」だったため目立った活躍ができなかった「卯」の一族の権力は衰えていきました。
里樹の家系図・相関図
- 里樹の母・阿多・皇帝・高順は幼馴染だった
- 里樹の母と高順で婚姻話が上がったことがある
- 里樹の父は婿養子でありながら里樹が生まれる前に妾との間に二人の子をもうけてる
里樹には腹違いの兄と姉がいる - 異母姉は里樹をいじめていた
- 里樹の母は里樹が幼い頃に亡くなっている
9歳で先帝に嫁ぐ
一族の権力を復興させるため里樹の父は、9歳の里樹を幼女趣味の先帝に嫁がせます。
しかし里樹は先帝のお手付きにならず、先帝は崩御。
阿多が里樹を先帝から守っていたようです。
先帝が崩御し、出家しますが里樹の父はひどい縁談を持ち込みます。
「祖父と言ってもいい年齢で、しかも正妻はおらず妾が10人いる」
という好色。
それを聞いた阿多が主上に相談し、里樹の縁談を破断にさせて上級妃にしました。
しかし、それは里樹父の計算だったのではないかと小説で書かれています。
阿多と主上が里樹を可愛がっていることを知っていたため、ひどい縁談を持ち込めば上級妃になれる、という思惑があったのではないかと。
14歳で上級妃に
実父の思惑に翻弄され、先帝に嫁いだ後は現帝に嫁がされました。
皇帝は里樹は14歳のため16歳になるまで「お手付きしない」と言います。
皇帝としても娘のように可愛がってきた里樹と夜伽をしたくありません。
16歳になるまで後宮で健やかに過ごして欲しいと願っていました。
しかし、里樹の侍女たちは「先帝の元妃」である里樹をいじめます。
園遊会で毒殺未遂
里樹は初めて参加した園遊会で嫌がらせと毒殺未遂を受けます。
- 場違いな色の衣装を着せられた
- アレルギーである青魚を食べさせられた
- 本来の里樹の配膳に「毒入りスープ」があった
侍女が嫌がらせで「玉葉妃」と配膳を変えたため「毒入りスープ」は猫猫に当たりましたが、本来の里樹の配膳には毒が盛られていました。
里樹が命を狙われた理由
侍女頭のいじめが露呈される
里樹は日頃から侍女たちから物を奪われたり、強請られることがありました。
特に侍女頭の嫌がらせがひどく「母の形見」である「銅鏡」を取り上げようとしました。
現場にいた壬氏が侍女頭を咎めることにより、いじめが露呈。
しかし、後々それが大きな事件に繋がります。
猫猫の厳しい意見
里樹は幼少期から家族と離れて暮らし、父親に「政治の道具」として利用され続け、不幸が続きます。
そんな彼女を可哀想だと思いつつも猫猫は里樹に「気概が必要」だと思います。
きっかけは花街で出会った「梓琳」という少女でした。
父親がろくでもない男で妹と物乞いをして生活をしていました。
梓琳は猫猫に出会い「緑青館で働かせてくれ」と願います。
誰かがきっと、自分を引き上げてくれる、
そんな甘い願望を持つよりまだ自分であがいてくれたほうが
猫猫は好きだ。
ヒーロー文庫5巻
梓琳は「生きる」ことへの執着心と野心でみなぎっていました。
里樹もこれぐらい「生き抜くための強い心」を持って欲しいと猫猫は思いました。
猫猫の気持ちはわかりますが、良家のお嬢様の里樹は「夫に尽くす」ことを教育されています。
また、この国の女性は外に出ず、屋敷で一生を過ごす女性もいます。
女性の地位は低く、家もとい男性の所有物であるという時代ですから、お嬢様で年若い里樹に「自分で状況を打破しろ」というのは難しい話ですよね。
皇弟の花嫁候補として西都に
通常、妃は後宮を出ることはありませんが、里樹は「西都」で行われる「皇弟の花嫁候補」として出席します。
「西都」は玉葉の出身地で都からかなり離れた場所にあります。
里樹が16歳になったため夜伽を避けたく、皇弟(皇帝の弟)に下賜したい
西都の旅は阿多も同伴するので里樹は心強く思いました。
花嫁選びの会場には里樹の父と異母姉がいます。
里樹にとって家族に会うのは気乗りしないことでした。
父親から冷遇され、異母姉からはずっといじめられていました。
実父から不義の子と疑われている
里樹の父は9歳の里樹を幼女趣味の先帝に嫁がせるなど、娘を政治の道具としか思っていません。
なおかつ、父は異母兄・姉だけを可愛がり、里樹を愛しませんでした。
里樹の父は「疑い」を持っていたのです。
里樹は自分の娘ではなく「皇帝」の娘ではないかと
里樹の母・阿多・皇帝・高順は幼馴染でした。
里樹の母はすでに里樹の父と結婚していましたが「東宮妃(現帝)」になる話がありました。
子を産めなくなった阿多が「里樹の母に「東宮妃」になって欲しい」と思い、不貞を促したことがありました。
それに対して里樹の母は怒り、阿多の頬を叩きました。
怒った理由は「自分はすでに結婚している」「主上は阿多を真剣に愛してる」からだったと思います。
そのため、主上と里樹母との間に不貞は無かったのですが、里樹の父は不貞を疑っていました。
父が里樹に冷たかったため、里樹は「自分は皇帝との不義の子」だと思っていました。
皇弟とは腹違いの兄妹になるため、花嫁にはなりたくないと思っていたのです。
ちなみに里樹の父は婿養子でありながら、里樹が生まれる前に妾に子どもを二人も産ませています。
里樹の母と里樹を責められる立場ではないですよね。
しかし、この国は男尊女卑が強い国です。それがまかり通る世界なのでしょう。
里樹父が「卯の一族」に婿入りできたのは商家の才能を評価されたからでした。
ですが、実際に商売をしていたのは妾で里樹父に商才や政治に対する特筆した才能はありません。
里樹父は自分の言うことを聞く者たちだけで周りを囲めて当主として君臨していました。
妾は里樹の母が亡くなった後に後妻になりますが、里樹をいじめたりすることなく「卯の一族」を支えるために商売を切り盛りしていました。
馬閃と里樹の出会い
西都の「皇弟の花嫁選び」の際、出し物として「獅子」が登場しました。
しかし、檻が壊れて獅子は猫猫と里樹に襲い掛かります。
それを助けたのが馬閃でした。
馬閃と里樹は互いに一目惚れした様子。
それが二人の初対面でした。
実子であることが判明
里樹は長年「自分は不義の子」だと思っていましたが、猫猫が実子であることを証明しました。
里樹の父は里樹と同じ「青魚のアレルギー」で「特徴的な歯並び」をしていたのです。
里樹が実子だとわかると、里樹父の態度は多少軟化しますが阿多は里樹父を牽制します。
長年に渡って里樹を冷遇し「政治の道具」として使っていたのに父親面をするのは、阿多としては許せませんでした。
皇弟妃ではなく上級妃を選ぶ
「皇帝の子」ではないとわかった里樹ですが、
皇弟の妃候補は辞退し、上級妃でいることを選びます。
理由は
「ふとした瞬間に彼のくだけた笑顔を見て、自分は彼の特別にはなれない」
と実感したからです。
恐らく皇弟が話していた相手は、彼の想い人の「ある女性」だと思います。
幼い頃の里樹は主上の膝の上に乗り「ひげのおじちゃん」と呼んで親子のように過ごしていました。
上級妃でいることを選んだため都に帰ったら、夜伽をすることになります。
父のような存在と夜伽をするくらいなら、皇弟を選んだ方が良いと思いますが…。
里樹は「壬氏には素の笑顔を見せれる女性と一緒になって欲しい」と思ったのでしょう。
里樹は気弱ですが、人の幸せを思いやれる優しい子です。
里樹のスキャンダル
不貞を疑われる
西都から戻った里樹は後宮に入ることができませんでした。
- 月経が遅れたため不貞を疑われて後宮に戻れない
- 元侍女頭が里樹を陥れるために「主上以外の男性に恋文を書いていた」と嘘の証拠を提出
その後、月経は来ましたし、猫猫が生娘かどうかを確認したので不貞の疑いは晴れました。
しかし「主上以外の男性に書いてた恋文」の証拠や手口が巧妙で疑いを証明できません。
棟に幽閉される
疑いが完全に晴れるまで里樹は侍女頭・河南と棟に幽閉されます。
しかし、運が悪いことにその棟には都中を騒がせた罪人「白娘々」がいたのです(詳しくは文庫5巻)
白娘々は幻覚を見せる香を焚き、里樹は意識が朦朧とします。
気づくと棟の最上階のバルコニーへ行き、飛び降りようとしていました。
「なぜ白娘々と同じ棟にいれたの!?」と思いますが、里樹の「不幸を引き寄せてしまう体質」としか言えません…。
ちなみに「白娘々と里樹が同じ棟で過ごす話」は「小説家になろう」にはなく「文庫版」の書き下ろしです。
里樹と馬閃の物語は主に「文庫版」で描かれていますので気になる方はぜひ文庫をお読みください!
こちらのエピソードは文庫6巻です。
馬閃が満身創痍で助ける
棟の最上階から落ちた里樹を助けたのは「人並外れた身体能力」を持つ馬閃でした。
里樹は「(自分は)命をかけてまで助ける人間ではない」と言いますが、馬閃は「自分を卑下しないでください」と言います。
馬閃は二度も里樹を助け、価値の無い自分に温かい言葉をかけてくれました。
里樹は思わず馬閃に胸に顔を寄せて泣きました。
二度目の出家
一年間の出家
里樹は主上の命により一年間「出家」することになります。
主上は里樹を娘のように思っているので出家後は幸せに暮らして欲しいと願っています。
馬閃に褒賞
満身創痍で里樹を守った馬閃に主上は褒賞を与えます。
なんでも望むものを与えようという。
物なのか者なのか、帝の許す範囲内で好きなものが選べる。
ヒーロー文庫6巻
ということは褒賞として「里樹」を選ぶことができます!
しかも、すぐには決められないだろうから「褒賞選びに一年間の猶予を与える」と言われます。
里樹はの出家は「一年」です。
馬閃が望めば、一年後に里樹を娶ることができるのです!
ちなみに、主上は馬閃にこの話をする前に猫猫に相談していました。
「里樹にふさわしい男が誰かいるとして、どういうものがいいだろうか?」
ヒーロー文庫6巻
猫猫は「体を張って里樹を守った武官が良いのでは」と遠回しに馬閃を薦めました。
なので主上は、里樹が出家した後は馬閃のもとに嫁がせたいと考えているようです。
相手が馬閃であれば、里樹の義理の父は高順になるため主上としても安心でしょう。
馬閃との約束
馬閃は里樹がどこへ出家したのか教えてもらえませんでした。
しかし「ある命令」で家鴨を飼育してる施設に行き、里樹と再会します!
馬閃は「あなたはこのような所にいる人ではない」と言いますが、里樹は後宮にいた頃よりも顔色が良く健康的でした。
今までずっと自分の好きなことどころか、
自分の生き方を選べたことはありませんでした。
ヒーロー文庫10巻
出家して家鴨の世話の面白さを知り、里樹は「自分の好きなもの」「やりたいこと」「自分の人生」について考えるようになります。
そして、たくさんの人が自分を気にかけてくれたのに自分の不幸ばかり考えていたと反省していました。
馬閃は「自分と一緒に来て欲しい」と言いますが里樹は断ります。
「私がもっと自分に自信を持てたら、もう一度、紅梅館に来ていただけますか?」
ヒーロー文庫10巻
すでに里樹は変わりつつあります。
自分で生き方を考え、自分に足りないもの、変わりたいと思える部分に目を向けられるようになりました。
最後まで里樹の味方でいた河南は主上から良い縁談をもらい嫁いだそうです。
いつか二人が再会できる日が来るといいですね。
里樹の祖父に結婚を直談判
文庫14巻で「名持ちの一族が集まる会合」が行われます。
主上から「褒賞として好きなもの(者)を与える」と言われている馬閃ですが、姉の麻美・麻美の夫・猫猫の四人で卯の一族の現当主(里樹の祖父)に会いに行きます。
「里樹の後宮時代の不遇」「皇帝のお手付きにならなかった」話をします。
そこで麻美が「馬の一族が里樹に縁談を持ち込んでも良いか」と聞きます。
意外な話に里樹の祖父は驚きます。
権力が衰えている「卯の一族」にとって良い話ではありますが、裏があるのではないかと疑います。
ひとまず縁談は「保留」となりますが、婚約者候補として話を進めることができました。
意外な味方・異母兄の卯純
意外な味方がいました。
それは里樹の異母兄の卯純です。
卯純の願いは
里樹に今まで奪われてきた幸せを与えること
里樹の騒動により里樹父は当主を降りて、里樹父と異母姉は表舞台に出れない生活を送っています(都から離れて田舎で暮らしてるのでしょう)
卯純だけは「一族の恥」として「見せしめ」で本家に残っていました。
元は文官でしたが、里樹の騒動をきっかけに武官に異動し、辛く厳しい毎日を送っています。
ちなみに卯純に関しては思わぬ意外な一面があり、文庫本14巻のキーパーソンです。
ぜひ彼の意外な一面を文庫本でお読みください!
まとめ・「里樹」は本作の裏主人公
波乱万丈の不運の妃「里樹」についてご紹介しました。
「薬屋のひとりごと」は登場人物が多いですが、その中でも里樹は一番成長した人物だと思います。
本作の主人公は「猫猫」でもう一人の主人公は「壬氏」と言われていますが、裏の主人公は「里樹」ではないかと思っています。
現在(2023年12月)14巻まで発売されていますが、もしかしたら15巻で馬閃と里樹の結婚が見れるかもしれませんね!
文庫版の挿絵の里樹は「泣き顔・困り顔」しかないので、彼女の幸せな笑顔を見たいです。
馬閃と里樹の物語は「小説家になろう」にほぼなく、文庫版の書き下ろしとして収録されているので、ぜひ文庫で二人の恋模様をお楽しみください!
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