「薬屋のひとりごと」の猫猫の生い立ち・両親・家系図・相関図について解説します。
ネタバレありの内容ですが、猫猫の出自を知ると本編がさらに面白くなりますよ!
家系図を見ることで「猫猫の正体」がわかります。
実はなんと〇〇〇なんです!
猫猫の両親は誰?
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父親は「天才軍師・羅漢」
母親は「緑青館の妓女・鳳仙」
父親の羅漢は宮廷内で大きな影響を及ぼす天才軍師で名持ちの一族「羅」の当主です。
「名持ちの一族」については後述しますが、この国でもわずかしかいない名門一族です。
母親は緑青館の妓女・鳳仙。
愛想は無く高慢な態度ですが、囲碁が強いことで有名になり客足の途絶えない人気妓女に。
猫猫の家系図・相関図
家系図
猫猫の家系図、もとい「羅の一族の家系図」です。猫猫には義理の兄と従兄弟がいます。
![「薬屋のひとりごと」猫猫の家系図・相関図](https://hk-slowlife.com/wp-content/uploads/2023/11/maomao-kakeizu-soukanzu-ryousin.png)
「名持ちの一族」とは
皇族に多大な貢献をした一族に与えられる称号で数は多くありません。
古参の一族は「十二支(子・戌など)」の名が与えられています。十二支以外の「名持ち」は歴史が比較的、新しい一族です。
「羅の一族」は優秀な者が多いですが、変わり者が多く「狂人と天才の一族」と呼ばれています。
猫猫の正体は「羅の一族」の「姫」
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名門一族のお嬢様である
猫猫は羅の一族の当主・羅漢の唯一の実子です。
そのため「羅の姫」と呼ばれます。
猫猫は自身を下賤の民と言いますが、
実は名門一族のお嬢様。
例えば「里樹妃」は「卯の一族」です。
猫猫も後宮に入れば「中級妃・上級妃」になれるぐらいの家柄。
皇族と結婚してもおかしくない立場です。
猫猫の養父・羅門は大叔父
家系図からわかるように猫猫の養父・羅門は大叔父の位置にあたります。
猫猫はなぜ両親のもとではなく、大叔父に育てられたのでしょうか?
猫猫の両親は愛し合っていましたが、すれ違いがあり一緒になれなかったからです。
羅漢と鳳仙の出会い・猫猫の出生
羅漢について
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羅漢は名門一族の長男でしたが、人の顔を識別できない男でした
(母親と乳母の違いどころか男女の顔も見分けがつかない)
そのため父親は羅漢を見捨てて愛人のもとに通うにように。
叔父の羅門だけは羅漢を認めていました。
人の顔を認識できない羅漢に「声や素振り、体格で覚えろ」とアドバイスをし、羅漢は人を識別できるようになります。
名門一族の長男ということもあり、宮廷では家柄のおかげで長を任されていました。
将棋が得意な羅漢にとって軍部は
「人が駒となる将棋」で面白いものでした。
鳳仙との出会い
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羅漢は付き合いで行った
妓楼で碁の強い「鳳仙」と出会います。
今まで負けなしだった羅漢は鳳仙に圧倒的に負けます。
負けたことが面白くて大笑いする羅漢。
碁盤から顔を上げると鳳仙の顔が見えました。
「人とはこういう顔をしているのか」
羅漢が初めて人の顔を認識した瞬間でした。
それから二人は何年も碁と将棋を打ち合うだけの逢瀬を続けました。
鳳仙に身請け話が
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鳳仙は一部の好事家から人気の妓女となり、値上がりしていきます。
羅漢が彼女と会うのは三ヶ月に一回が精いっぱいでした。
羅漢は異母弟に後継を奪われていたため、
自分が鳳仙を身請けするには太刀打ちできない金額でした。
鳳仙の策略。身請けを破断に
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ここからは鳳仙の視点で書きます。
鳳仙は羅漢と結ばれたいと思いました。
そのため彼の子どもを身籠って身請けを破断しようと考えました。
鳳仙の策略通り、鳳仙は羅漢の子ども(猫猫)を身籠ります。
しかし、羅漢の叔父の羅門が無実の罪で失脚。
余波として羅漢も遊説を命じられ西都に赴任することに。
半年で戻るはずが三年もかかりました。
身請けを破断した鳳仙は緑青館の看板に泥を塗ったと罵られ、緑青館の経営も危機状態に。
鳳仙は夜鷹のごとく客を取り、梅毒にかかります。
梅毒は全身に回り、鼻が欠けてしまいました。
羅漢と猫猫の出会い
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遊説から帰ってきた羅漢は鳳仙がいなくなったことにショックを受けます。
やり手婆に殴られながらも
「子どもに会わせてくれ」と願いました。
(鳳仙は緑青館の離れで療養していましたが、やり手婆は「いない」としか言いませんでした)
すると道端で少女と出会います。
人の顔を認識できない羅漢が少女の顔を認識しました。
すぐに自分の娘だと気が付いたのです。
猫猫は緑青館で生まれた後、花街で薬師を始めた羅門に引き取られて育てられていました。
「残った娘とともにいたい」
羅漢は緑青館に十年かけて二倍相当の賠償金を支払い、やり手婆に猫猫を身請けさせて欲しいと頼みました。
羅漢と鳳仙の再会
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「小説家になろう」にはなかったエピソードなのですが、文庫本2巻で羅漢は鳳仙と再会し、鳳仙を身請けします。
梅梅が二人を再会させる手助けをしたのです。
羅漢は鳳仙を身請けしたあと休暇届けを出し、七日七晩宴をしました。
それからの二人は甥の羅半が
「見ていて恥ずかしくなるほど楽しく過ごしていた」とのこと。
鳳仙の死去
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梅毒により寿命が短かった鳳仙。
彼女が亡くなった後、羅漢は抜け殻のようになります。
理由は
「鳳仙が亡くなったこと」
「鳳仙が最後に打った碁が理解できなかったこと」
鳳仙は廃人状態で人と会話できる状態ではありませんでしたが、羅漢は意思の疎通ができたようで彼女と碁を楽しんでいました。
猫猫は碁盤を用意してもらうと抜け殻になった羅漢と向き合いました。
羅漢が最後に鳳仙と打った「棋譜」をもとに猫猫は羅漢と碁を打ちます。
羅漢は徐々に意識を取り戻し、一人で黒と白の碁石を交互に打ちました。
すると「理解できなかった鳳仙の打ち手」が理解できたのです。
勝負の結末は……。
文庫本6巻をお読みください。
羅漢が鳳仙の死を受け止める感動的なストーリーです。
猫猫と羅門の出会い
羅門について
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羅門は学問に秀でた人でした。
科挙と医官の両方の試験を合格したのですが、困っている人を見捨てられない性分から医官の道に進みます。
優秀だったため国から派遣されて西方に留学。
帰国後は運悪くも女帝に目を付けられ、
宦官にさせられて後宮医官に。
しかし皇族の怒りを買ってしまい、
無実の罪で肉刑にされ罪人になります。
羅門は優秀で優しいのですが要領が悪いところがあり、なにより運が悪い人なのです。
羅門と猫猫の出会い
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羅門は自分のせいで羅漢が西都に左遷されたことを知り、羅漢の家に行きます。
するとそこには女性からの文と巾着が。
嫌な予感がして巾着を開けると女性の指と赤子の指が入っていました。
羅門は緑青館へ行き、やり手婆と交渉し猫猫を引き取ります。
羅門が緑青館に行った当初は「宦官で罪人」である彼を誰も信用しませんでした。
そのため羅門が梅毒の治療法を伝えても誰も聞く耳を持たず、妓女たちの症状は悪化。
羅門の治療を受けていれば鳳仙は重症化しなかったことでしょう。
薬師として育てる
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原作では「羅門とやり手婆」のやり取りは深く描かれていませんが、羅門は「養父」で「身元引受人」はやり手婆のようです。
羅門は猫猫を預かってるだけで親権のようなものは持っていません。
やり手婆は猫猫を妓女にするつもりでしたが羅門が「この子にはそれ以外の道があるかもしれない」と言い、薬師として育てます。
猫猫と薬の相性は抜群で才能はすぐに開花!
異常なほど薬と毒に夢中になる娘になりました。
羅門は猫猫が唯一甘えられる人
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猫猫にとって羅門は唯一甘えられる人です。
実家から後宮へ戻る前日は羅門の横に布団を並べて一緒に寝たり、女性の同僚(姚と燕燕)が羅門と会話をしていて中に入れない時はムスッとすることも。
普段はクールで淡々とした猫猫ですが
ファザコンな面もあります。
猫猫と鳳仙
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猫猫は「母親」が鳳仙であることを伝えられていません。
やり手婆が妓女たちに口止めをしたからです。
しかし周囲の空気から鳳仙が母であること、鳳仙のせいで緑青館の経営が傾いたことを子どもながらに察します。
猫猫にとって鳳仙は
「母」ではなく「自分を産んだ女」
という認識です。
赤子の猫猫を育てたのは三姫とやり手婆です。
三姫の白鈴は出産経験が無いのに母乳が出る体質だったため、猫猫は白鈴から母乳をもらっていました。
赤子の猫猫はほとんど泣かなかったそうです。
三姫は愛情を注いでくれましたが、夜になると仕事でいません。
泣いても誰も来ないことがわかり、徐々に泣かなくなったそうです。
母親の愛情を一切受け取れなかった猫猫ですが、三姫とやり手婆と羅門がいたから愛情を知ることができました。
猫猫の小指
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猫猫は小指が欠けています。それは鳳仙が切ったからです。
当時「ゆびきり」という呪いが流行っていました。「ゆびきり」がどういう呪いなのか原作では深く書かれていません。
日本の遊郭では男女が誓いの証として互いに小指を切断して贈り合うという流行があったそうです。なのでそういった内容かと思われます。
鳳仙は自身の指を根元から切っていますが、猫猫は第一関節から上が切られています。
せめてもの親心だったのかもしれませんね。
猫猫の達観とした性格
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猫猫は「羅門の養女になれた」ことを幸せに思っています。
「やり手婆と三姫」も自分を見守り、育ててくれました。
「家族愛」は猫猫の中にあります。
ではなぜ、十七歳で達観した性格なのか。
「薬師」として救えなかった命をたくさん見てきたからなのでしょう。
また妓楼で生まれ育ったこともあり、女性同士の裏切りやいじめ、男女のいざこざを見るのが日常でした。
妓楼に「売られる娘たち」を幼少期から見てきたこともあり「生まれた身分が人生を左右する」のだと達観したのだと思います。
物語初期の猫猫はやさぐれたところがありますが、巻を重ねるごとに性格が徐々に丸くなります。
花街の人間としか関わりのなかった猫猫が、後宮に入って初めて友達(小蘭)ができ、素敵な同僚(翡翠宮の侍女・医局の面々)に出会い「人付き合い」が変わっていきます。
猫猫と壬氏の関係もそのうちの一つです。
猫猫の心の変化も本作の見どころの一つです。
【考察】猫猫はやり手婆の実の孫?
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一見厳しく見えるやり手婆ですが、猫猫に優しいと思います。
緑青館の経営をどん底に落とした妓女の娘であれば憎く思いそうなのにそういった態度はありません。
鳳仙の代わりに三姫と婆で猫猫を育てた描写が見られます。
また「猫猫が鳳仙の娘」であることを妓女たちに口止めしていたのも、猫猫への配慮だと思います。
通常「妓女の娘は妓女」になるものですが、婆は羅門に預けて「薬師」の仕事を許しています(緑青館の一角を間借りして薬屋をしてるので緑青館に貢献してるからかもしれませんが)
作中では「薬師の真似事はやめて妓女になれ」というセリフがあったり、李白を白鈴に紹介した時は「体で払え」と妓女になることを勧めていますが、羅漢に身請けさせることを前提で妓女にさせようとしてるように見えました。
日向夏先生がこんなツイートをしています。
考察
婆の息子らしき人は原作で出てきています(文庫5巻)
鳳仙を産んだ女性は妓女です。
婆の年齢が60~70代として、鳳仙が生きていれば40代。
婆は鳳仙の母では?と考えました。
婆は花街では伝説の妓女と言われるほどの存在でした。
身請け話もたくさんあったと思いますが「やり手婆」になり子どもを産んでる様子。
子どもを産みたい妓女の気持ちはわかる人なのかもしれませんね。
もし、婆が鳳仙の母であり「鳳仙を妓女にしたことで不幸」にしてしまったのなら、猫猫には別の道を選ばせたいと思い、羅門に預けたのでは?
もし猫猫が実の孫であれば寛容なのも理解できますし、梅毒で廃人になった鳳仙を離れで長年、療養させていたのも納得できる気がしました。
猫猫と羅漢の関係
![猫猫と羅漢の関係](https://hk-slowlife.com/wp-content/uploads/2023/11/maomaotorakan-1024x538.png)
「憎い」のではなく「苦手」
猫猫は羅漢を恨んでいる?
そんなことは一切なく「苦手」なだけです。
理由は三つ。
- 血まみれの男がへらへらと笑いながら震える手で、幼い自分を連れ去ろうとしたのが怖かった(やり手婆に箒で殴られて血を流していたため)
- 敬愛する羅門が羅漢を褒めるため嫉妬している
- 羅漢が「自分は父親」だと名乗るのが嫌
猫猫は羅門が父親だと思っています。
そのため羅漢が「父親」と名乗るのが嫌です。
猫猫にとって父はおやじであって、あの変人ではない。(中略)
それはありえない、どうしても譲れない点である。
ヒーロー文庫2巻
羅漢と鳳仙が出会い、自分が生まれ、羅門の養女になれた。
そのことについて猫猫は二人に感謝しています。
羅門の養女になれたことが猫猫にとってなによりの幸せだからです。
少しずつ関係性が変わり始める
羅漢を苦手に思っていた猫猫でしたが、徐々に態度が軟化していきます。
- 羅漢は鳳仙との棋譜集を出版してるが、猫猫も出版の手伝いをしてる
- 宮廷内で「羅漢の娘」として知られるようになるが否定はしない(嫌な顔はするが)
理由は医局で働くようになり武官の相手をしたり、軍部を歩くようになったから。
嫌ではあるが「羅漢の娘」という肩書きを使って武官たちから絡まれないようにしている。
- 文庫14巻「名持ちの会合」では仕方なく羅漢の隣に座る(初期の猫猫なら考えられない!)
「羅の一族」について
![](https://hk-slowlife.com/wp-content/uploads/2023/11/ra-itizoku.webp)
羅漢が当主になった理由
羅漢は遊説から戻り、鳳仙を失ったあと
「残った娘と共に生きたい」
と願い、力を付けることにしました。
猫猫を身請けするために一族の当主になることを決意。
実の父親の政治不正を暴いて家督を奪い、後継だった異母弟を排斥して当主に。
軍部では邪魔者を消して出世し、軍師になりました。
権力と財力を手に入れた羅漢は十年かけて緑青館に二倍相当の賠償金を支払って猫猫の身請けをやり手婆に交渉します。
ようやく賠償金の支払いが終わり、猫猫の身請けを頼んでいる最中に壬氏に身請けされてしまったため「とんびに油揚げを取られた」と壬氏の仕事を邪魔するようになります(笑)
「羅の一族」の相関図
![「薬屋のひとりごと」猫猫の家系図・相関図](https://hk-slowlife.com/wp-content/uploads/2023/11/maomao-soukanzu-kakeizu-rakan.png)
こちらが「天才と狂人」と言われる一族です。
一人一人が個性的で面白いんですよ!
「羅の一族」の騒動は文庫版6巻で読めます。
読者人気の高い「羅半兄」が初登場するのも6巻からです!
まとめ
- 猫猫の両親は羅漢と鳳仙
- 猫猫は「羅の一族」の「姫」
- 羅漢と鳳仙の出会いと別れ
羅漢と鳳仙のエピソードを簡略化して書いていますが、とても感動するエピソードなので文庫・コミックスでご覧ください!
羅漢が鳳仙を身請けする話は文庫本2巻、ガンガン版・サンデー版でも漫画化されています。
鳳仙が死去する回は文庫本6巻です。
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